※2018年3月時点での情報です。
台湾ではかつて、ナローゲージ(現地では「五分車」と呼ばれる。)の鉄道網が(主に西海岸南部に)縦横無尽に敷かれていました。一時期は高雄~台中を五分車だけで行き来できたりもしたそうです。主にサトウキビや木材の運搬を目的として運行していたそうですが、一部は旅客営業もしていたそうです。
そんな五分車も現在ではほとんどが廃止され、観光鉄道を除けば現役の路線はひとつだけとなってしまいました。台湾中部、雲林県虎尾を中心に走る「馬公厝線」という路線で、毎年冬から春にかけて、サトウキビ積込場と製糖工場との間を走っています。今回は虎尾中心部の線路で列車を撮影しましたので、ここで紹介させていただきます。
当日の旅は嘉義から区間車で…。2018年のランタンフェスティバルをやってたころですね。町中の朝食屋で揚げパンと豆乳を購入。
8時ごろ、斗南駅に到着。ここで虎尾行のバスに乗り換えです。
斗南駅前には五分車が展示されております。昔はここまで五分車が来ていたようです。
駅構内にあった禁煙通知看板。これは…。
虎尾行のバスは、駅前の臺西客運斗南站に発着しています。路線バスにしてはやけに車体が大きいですね。
こちらは虎尾のバスターミナル(臺西客運虎尾站)。高鐵雲林駅からも近いです。
虎尾站の付近はレトロな建物が残されており、スタバもありとなんだかオサレな感じ。
虎尾の市街地はこんな感じ。台湾の典型的な地方都市ですね。ここは斗六と並ぶ雲林県の中心的な都市で、地方裁判所がおかれています。
一部併用軌道みたいになってますが、クルマが停まってたり遊歩道みたいに歩けたりして、境界がよくわからんことになってますね。線路も2本敷かれていますが片方しか使われていないようです。
季節運行のため、看板やのぼりを用いて告知しています。
ぶらぶら歩いていると、台湾糖業(台糖)虎尾糖廠という工場にぶち当たります。広大な工場に隣接して旧虎尾駅があり、観光案内所も併設されているのですが、あいにく月曜日の訪問だったため閉まっていました。営業日は自転車も借りられるそうです。付近には台糖直営のスイーツショップもありましたがこちらも休業。みなさん魔の月曜日にはご注意を…
旧虎尾駅を中心に廃線跡がモニュメント的に残されている部分もあります。
その工場のすぐ南には虎尾渓なる川が流れており、鉄橋がかかっています。かつては斗南・斗六に向かう五分車が走っており、一時期は台中~高雄にまたがる「南北平行予備線」の一部をなしていたこともありました。よくみると線路が三本の三線軌条になっていますが、これはナローゲージに台湾国鉄の貨物列車が乗り入れていた名残です。
ちなみに。将来的には線路の一部を復活させ、斗南~虎尾~高鐵雲林を運行させる計画があるそうです。
そんなこんなで街をぶらぶらしてたら踏切に係員が。
どうやらもうすぐ列車が来るようです。五分車目当てで来る人はそれなりにいるのか、手際よく案内していただき、踏切で待つことになりました(その節はありがとうございました)。先客の方もいて、なんと日本人でした。職場の鉄道マニア3人での訪台ということで楽しそうな様子でした。
そんなこんなで列車が来るまで鉄道談議をしながら待っていると…
(゚∀゚)!!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
撮影(写真と平行してスマホでビデオも撮っていた)に気を取られて列車をあまり見られんかった…
写真じゃうまく伝わりませんが、実際に見ると、ヘロヘロの軌道をいく小さな貨物列車は意外にも轟音をまき散らし、踏切の警報音も相まってとても迫力があります。ジョイント音もボギー車のガタンゴトン…という音とは違い独特のリズムを刻んでいます。日本を発ったときは予定に全く組み込んでいませんでしたが、突発的に来訪して正解でした。
遅ればせながら動画もアップロードいたしましたのでよろしければどうぞ(もっともYouTubeにはより高品質かつ充実した動画がたくさん上がっていますが…)
(2022/04/22追記)
列車が通り過ぎた後は何事もなかったかのようにバイクや自動車が線路を横切っていきました。この人たちは五分車をどう思っているのだろう。。。
さて撮影も終わり、4人で町中を歩きつつバスターミナルへ向かいました。3人は高鐵雲林からタクシーでここにきて、また雲林駅へ戻るとのことで、ちょうどそちらの方向に向かう停留所にバスが停まっていたので、そこから乗るよう勧めました。
そして自分は斗南駅に戻るバスを待っていたのですが、少しして係員と思しきオバサンが近づいてきて。
「高鐵雲林に行くバスが到着したよ」
…。
もしかしたら全然違うバスに乗せてしまったのかもしれません…いやはや、本当に申し訳なかったです。